Barで私が考えた妄想の日々是好日No.53
夜な夜なBarカウンターの向こう側で繰り広げられているたくさんのドラマ。
楽しいこともあれば、悲しいこと、辛いこと、びっくりすることなど。
本当に、毎晩オムニバス映画を見ているかのような日々。
私だけが見ている私だけの物語。
それをありのままに書くとプライバシーの問題があるので、
私の主観で、私が夜な夜な見ている出来事のその先を、
「妄想」に変えてつぶやいていこうかな・・・
なんて出来心から始まった、あくまでも妄想のオハナシです。。。
【お熱いのがお好き】
12月も後半にさしかかり、
忘年会帰りにオンザ納めという常連さんがぼちぼち増え始めた平日のとある夜。
県外出身のお客さまが多い当店。
この夜も、カウンターに3組6人いらしたんですが、全員県外出身者。
(私だけ生粋の信州人なのでなぜかアウェイ感・・・)
みなさん塩尻に転勤になって飲みにいらしてくださるようになったお客さまです。
20代30代40代の上司と部下の3人組。
2人はいつも最初から最後まで生ビール。
おしぼりを渡すと同時に「いつもので」とのオーダー。
もう1人、今年転勤で塩尻に来てもうちょっとで31歳になるという新婚のお客さま。
毎回、3杯くらい飲まれるんですが、
この夜は歩いてくる途中で体が冷えてしまったとかで、まずはホットワインから。
仕事納め間近ということもあって3人とも話に夢中になっていたので、
お一人でいらしてカウンターの私の前に座っていた、
映画好きの50代のお客さまと最近見た映画のお話を聞いていました。
その時、その方のお隣にいらした50代2人組が映画ネタに乗っかってきて、
どんなジャンルが好きかとか、自分にとっての傑作はあれとこれだとひとしきり大盛り上がり。
そうこうしていたら、
3人とも同世代ということもあってか若いころにゾクゾク?きた映画女優はだれか?という話に・・・
*以下、若干下ネタが含まれます。
お酒の席での話ということと男ならではということをご了承の上お読みください。
「俺はね、やっぱりオードリーヘップバーンかなあ。あのなんていうか可憐で清楚な感じ!
黒いドレス姿とかそそられたね。ここの店のトイレに入ると絶対写真見ちゃうんだよ。好きだったな~」
「僕ね、カトリーヌ・ドヌーブとかブリジットバルドーにはホントお世話になったんですよ~。
死んだ親父も映画が好きでね、僕が高校生の頃にレーザーディスクがうちにあって。
フランス映画ってやつをさ、17歳の血気盛んな男子が見たらそりゃ無理ってもんでしょ(笑 」
「俺はやっぱりダントツでマリリンモンローよ。
あのブロンドボムシェルとなんともいえない色っぽさ。若いときはあの声だけでも×〇△*・・・」
三者三様ではありますが、最終的に合致した意見は
「青春時代にいかに好きな女優が自分のセクシャリティに影響を及ぼしたか」
というところで長々と盛り上がっていました。。。
そこに冒頭の上司と部下の3人組からお声がかかって2杯目のオーダー。
2人はやっぱり「同じもの」ということで生ビールを。
もう1人に「次は何を作りましょうか?」と聞いたら少し迷って
「明日仕事が終わったら里帰りするんです。
あんまり飲むと嫁に怒られちゃうんで今夜はあんまり飲まないって決めて来たんですよね・・・
うーん・・・じゃあ、最後にマンハッタンを」
とのオーダー。
生ビールのグラスを2つ用意して生ビールサーバーのところに置いてから次の作業。
ミキシンググラスに氷を入れてチェリーを冷蔵庫から出して、
少し迷いつつバーボンを選んでからスイートベルモットとアンゴスチュラビターズの瓶を探して、
全てカウンターに並べたらカクテルグラスを用意。
ジガーカップで分量を量りながら一つづつミキシンググラスへ。
軽くステアしたら次は生ビールを2杯グラスに注いで、そのまま2つ持って2人のコースターの上にお出しして。
戻ったらチェリーをグラスに入れてグラスとミキシンググラスを持ってもう1人の彼の元へ。
コースターを少し私側に寄せてからグラスを置いて、
ミキシンググラスから直接注いでグラスを乗せたコースターを彼の手前まで押して
「はい、マンハッタンです」
ここまでの行程だけ、文字だけで見るとフツーのBarでよくある一連の作業なんですが・・・
さすがにね、そこはBar On the Roadですから。
1杯のカクテルを作るだけなのに・・・そうそう簡単に作らせてはもらえない?というか、
一筋縄じゃ行きませんでした。。。
まず、ミキシンググラスを置いた段階で私の前にいらした映画の話で盛り上がっていた3人が
「おっ!ママが仕事する気になったぞ」
「腕が痛いって言ってたけどシェイカー振れるか?」
「何を作るのかな?」
バーボンとベルモットとビターズを置いてジガーカップで計量を始めたら
「ママなに作るの?」
「これ混ぜるんだよね?」
「カクテルだな」
なんかもうギャラリーがうるさいwww
私「いまね、あちらの新婚の若者からマンハッタンのご注文をいただいたんです。
こう見えて私もけっこうマジメに仕事してるんですよ(笑 」
「マンハッタンってカクテルの名前?」
私「そうですよ~。マティーニがカクテルの王様なら、マンハッタンはカクテルの女王です」
「あれだあれ、ニューヨークのマンハッタンクラブだろ。仕事で六本木のバーに行ったときに聞いたわ」
私「名前の由来は諸説ありますが大筋はそこから来てますよね」
「えー、そうなの?ちょっと検索しよ」
私「検索してみてください。Sさんの好きなマリリンモンローが出てきますよ~」
ヤンヤヤンヤと騒がしいギャラリー?を振り払ってご注文のお品をお出ししてひと段落。
したかと思いきや・・・
「ちょっとちょっとママー、お熱いのがお好きで汽車の中で作ってたやつかー。
僕にもそれ作ってよ。飲みたい!」
「なんだ、お熱いのがお好きは俺も観たぞ」
「さすが新婚!兄さん、今夜はそれ以上飲んじゃダメだぞ!」
「いや、まだ若いからそんなこと気にしなくても大丈夫だって」
私「・・・お兄さまがた、ちょっと落ち着いていただけますか・・・」
このあともひとしきり大騒ぎして
「いや~、楽しかった。じゃあ、またここで」と握手し合って、
それぞれまた次のお店かお家へと出て行かれました。
この後、客足が途絶えたので少しだけ早じまいして洗い物をしながら、
誰もいなくなって冷え込んだBarで私は妄想していました。
たった1杯のカクテルだけど名前の由来は諸説あり、
カクテル言葉やそのカクテルにまつわる話やそこから先にもまだまだ物語が広がっていて。
こんな風に、初めて会って、生まれたところも育った環境も、もちろん、
いま置かれている立場も違う人たちがその1杯のカクテルで小一時間(やっぱり下ネタで)話が弾んで。。。
なんというか、塩尻の社交界の中では場末の末端みたいなBar On the Roadから、
たった1杯のカクテルのご注文から始まった物語。
観ているこっちは、何言ってんの?とハラハラしたり、大声出してツッコミ入れたり・・・
少しだけ気取ってみたり、それでいて傍観者だったり。
こんな夜もまんざらじゃないなと。
私の好きな夜です。
楽しいこともあれば、悲しいこと、辛いこと、びっくりすることなど。
本当に、毎晩オムニバス映画を見ているかのような日々。
私だけが見ている私だけの物語。
それをありのままに書くとプライバシーの問題があるので、
私の主観で、私が夜な夜な見ている出来事のその先を、
「妄想」に変えてつぶやいていこうかな・・・
なんて出来心から始まった、あくまでも妄想のオハナシです。。。
2015/10/11
【お熱いのがお好き】
12月も後半にさしかかり、
忘年会帰りにオンザ納めという常連さんがぼちぼち増え始めた平日のとある夜。
県外出身のお客さまが多い当店。
この夜も、カウンターに3組6人いらしたんですが、全員県外出身者。
(私だけ生粋の信州人なのでなぜかアウェイ感・・・)
みなさん塩尻に転勤になって飲みにいらしてくださるようになったお客さまです。
20代30代40代の上司と部下の3人組。
2人はいつも最初から最後まで生ビール。
おしぼりを渡すと同時に「いつもので」とのオーダー。
もう1人、今年転勤で塩尻に来てもうちょっとで31歳になるという新婚のお客さま。
毎回、3杯くらい飲まれるんですが、
この夜は歩いてくる途中で体が冷えてしまったとかで、まずはホットワインから。
仕事納め間近ということもあって3人とも話に夢中になっていたので、
お一人でいらしてカウンターの私の前に座っていた、
映画好きの50代のお客さまと最近見た映画のお話を聞いていました。
その時、その方のお隣にいらした50代2人組が映画ネタに乗っかってきて、
どんなジャンルが好きかとか、自分にとっての傑作はあれとこれだとひとしきり大盛り上がり。
そうこうしていたら、
3人とも同世代ということもあってか若いころにゾクゾク?きた映画女優はだれか?という話に・・・
*以下、若干下ネタが含まれます。
お酒の席での話ということと男ならではということをご了承の上お読みください。
「俺はね、やっぱりオードリーヘップバーンかなあ。あのなんていうか可憐で清楚な感じ!
黒いドレス姿とかそそられたね。ここの店のトイレに入ると絶対写真見ちゃうんだよ。好きだったな~」
「僕ね、カトリーヌ・ドヌーブとかブリジットバルドーにはホントお世話になったんですよ~。
死んだ親父も映画が好きでね、僕が高校生の頃にレーザーディスクがうちにあって。
フランス映画ってやつをさ、17歳の血気盛んな男子が見たらそりゃ無理ってもんでしょ(笑 」
「俺はやっぱりダントツでマリリンモンローよ。
あのブロンドボムシェルとなんともいえない色っぽさ。若いときはあの声だけでも×〇△*・・・」
三者三様ではありますが、最終的に合致した意見は
「青春時代にいかに好きな女優が自分のセクシャリティに影響を及ぼしたか」
というところで長々と盛り上がっていました。。。
そこに冒頭の上司と部下の3人組からお声がかかって2杯目のオーダー。
2人はやっぱり「同じもの」ということで生ビールを。
もう1人に「次は何を作りましょうか?」と聞いたら少し迷って
「明日仕事が終わったら里帰りするんです。
あんまり飲むと嫁に怒られちゃうんで今夜はあんまり飲まないって決めて来たんですよね・・・
うーん・・・じゃあ、最後にマンハッタンを」
とのオーダー。
生ビールのグラスを2つ用意して生ビールサーバーのところに置いてから次の作業。
ミキシンググラスに氷を入れてチェリーを冷蔵庫から出して、
少し迷いつつバーボンを選んでからスイートベルモットとアンゴスチュラビターズの瓶を探して、
全てカウンターに並べたらカクテルグラスを用意。
ジガーカップで分量を量りながら一つづつミキシンググラスへ。
軽くステアしたら次は生ビールを2杯グラスに注いで、そのまま2つ持って2人のコースターの上にお出しして。
戻ったらチェリーをグラスに入れてグラスとミキシンググラスを持ってもう1人の彼の元へ。
コースターを少し私側に寄せてからグラスを置いて、
ミキシンググラスから直接注いでグラスを乗せたコースターを彼の手前まで押して
「はい、マンハッタンです」
ここまでの行程だけ、文字だけで見るとフツーのBarでよくある一連の作業なんですが・・・
さすがにね、そこはBar On the Roadですから。
1杯のカクテルを作るだけなのに・・・そうそう簡単に作らせてはもらえない?というか、
一筋縄じゃ行きませんでした。。。
まず、ミキシンググラスを置いた段階で私の前にいらした映画の話で盛り上がっていた3人が
「おっ!ママが仕事する気になったぞ」
「腕が痛いって言ってたけどシェイカー振れるか?」
「何を作るのかな?」
バーボンとベルモットとビターズを置いてジガーカップで計量を始めたら
「ママなに作るの?」
「これ混ぜるんだよね?」
「カクテルだな」
なんかもうギャラリーがうるさいwww
私「いまね、あちらの新婚の若者からマンハッタンのご注文をいただいたんです。
こう見えて私もけっこうマジメに仕事してるんですよ(笑 」
「マンハッタンってカクテルの名前?」
私「そうですよ~。マティーニがカクテルの王様なら、マンハッタンはカクテルの女王です」
「あれだあれ、ニューヨークのマンハッタンクラブだろ。仕事で六本木のバーに行ったときに聞いたわ」
私「名前の由来は諸説ありますが大筋はそこから来てますよね」
「えー、そうなの?ちょっと検索しよ」
私「検索してみてください。Sさんの好きなマリリンモンローが出てきますよ~」
ヤンヤヤンヤと騒がしいギャラリー?を振り払ってご注文のお品をお出ししてひと段落。
したかと思いきや・・・
「ちょっとちょっとママー、お熱いのがお好きで汽車の中で作ってたやつかー。
僕にもそれ作ってよ。飲みたい!」
「なんだ、お熱いのがお好きは俺も観たぞ」
「さすが新婚!兄さん、今夜はそれ以上飲んじゃダメだぞ!」
「いや、まだ若いからそんなこと気にしなくても大丈夫だって」
私「・・・お兄さまがた、ちょっと落ち着いていただけますか・・・」
このあともひとしきり大騒ぎして
「いや~、楽しかった。じゃあ、またここで」と握手し合って、
それぞれまた次のお店かお家へと出て行かれました。
この後、客足が途絶えたので少しだけ早じまいして洗い物をしながら、
誰もいなくなって冷え込んだBarで私は妄想していました。
たった1杯のカクテルだけど名前の由来は諸説あり、
カクテル言葉やそのカクテルにまつわる話やそこから先にもまだまだ物語が広がっていて。
こんな風に、初めて会って、生まれたところも育った環境も、もちろん、
いま置かれている立場も違う人たちがその1杯のカクテルで小一時間(やっぱり下ネタで)話が弾んで。。。
なんというか、塩尻の社交界の中では場末の末端みたいなBar On the Roadから、
たった1杯のカクテルのご注文から始まった物語。
観ているこっちは、何言ってんの?とハラハラしたり、大声出してツッコミ入れたり・・・
少しだけ気取ってみたり、それでいて傍観者だったり。
こんな夜もまんざらじゃないなと。
私の好きな夜です。
2019年12月29日 Posted byおんざろーど at 19:13 │Comments(0) │Bar On the road │つぶやき│Barと喫茶店で私が考えたこと
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。